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室内との一体化活用ができる中庭のデッキ |
取材地は本県の西北端、水窪町(天野勝郎町長)の町並みを見下ろす高台に建築された町立水窪小学校(池野滋久校長・児童数160名)です。「昭和30年代の前半に建築された同校のRC造3階建て旧校舎が老朽化し、耐震上の配慮から今回改築」(水窪町教育委員会)されました。
施設は平屋建ての南棟に普通教室、2階建ての北棟に特別教室と管理部門施設が配置され、床面積1千m2を超す大規模木造に必要となる防火区画として、時計台のある中央部がRC造となっています。
施設の概要は別表のとおりですが、建物の内部に入りまず目に付くのが、スギの壁、ヒノキの廊下等造作材だけでなく、あらわし構造材を含めたボリューム感です。
「町の面積の9割以上が森林という木の町にふさわしい校舎は、地元産材を活用した木造」(同教育委員会)とはいうものの使用材積にはちょっと驚きです。
次いで平面プランと採光のよさに目がゆきます。北側の玄関から招き入れ、応接室、校長室、職員室等の管理施設から透視できる、日当りのよい南側に普通教室が配された回遊式の平面プランは、幅広の廊下、階段室と相まって特別教室への移動もスムーズです。
また、「南北両棟をつなぐ中庭は耐久性の高いイペ材のデッキでつながれ、集会利用や休み時間の子供たちの憩いの場としても好評」(同校長)のようです。
また各教室には、夏、冬のローコスト補助空調として、太陽光による集熱・畜熱システムが採用されました。
さらに同校では「木にこだわって学童机も木製化を検討してきたが、今年は予算上の制約から1年生だけとし、来年以降順次導入してゆく予定」(同教育委員会)とのことです。
森林地帯の木の学び舎が、児童だけでなく、広く地域住民にも愛され続ける施設であってほしいものです。
所在地 | 磐田郡水窪町奥領家2,695 |
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規模・構造 | 木造一部RC造 2階建一部平屋建 |
建築(延床)面積 |
1,972.83(2,488.98)㎡ 1階: 玄関、普通教室6室、養護学級室、図書室、パソコン教室、家庭科室、厨房、生活科室、同準備室、保健室、多目的室、職員室、校長室、応接室、休憩室 ほか 2階: 理科室、同準備室、図工室、同準備室、音楽室、同準備室、児童会室、会議室 ほか |
総工費 | 732,900千円 |
設計・監理 | (株)竹下一級建築士事務所 (浜松市) |
施工 | 吉川・常盤特定建設共同企業体 (静岡市) |