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周辺環境にとけこむ和の佇まい (飲食棟・鞠子庵、たくみ亭南西側外観) |
力強いタイコ梁、通し丸柱の二階客間 (飲食棟・たくみ亭) |
静岡市(小嶋善吉市長)には、漆器、蒔絵、竹千筋細工など今川・徳川時代から受け継がれた全国に誇る伝統品があります。これらの伝統工芸を知り、体験できるのが、今回整備された駿府匠宿です。
周辺の山腹からこの施設を俯瞰すると「和風建築の持つ伝統的な日本の心を現代の視点で捉え、日本建築の伝承を強く意識」し、また「限られた敷地の中に、中庭をはさんで回廊屋根を統一し、連続性を求めた」(同市地域産業課)という設計の理念がよくわかります。
同宿には、250インチの大型スクリーンを使った参加型体験シアター・たく丸劇場や、駿府和染、指物、陶芸などを創作体験する各種体験工房等、伝統工芸を身近に感じてもらうための「創る、遊ぶ、学ぶ、触れる、観る」の仕掛けが満載されています。
その他にも、地場産品を展示紹介するギャラリー、リッチな和風建築の食事処、甘味処、おみやげ処も整備されました。
さて、木造を中心に各施設を見てゆくと、まず目につくのが在来工法の格調高い瓦葺き和風建築の食堂・物販棟です。なかでも食事処には、末口40cm・7m の丸柱が通しで、末口45cm・9mのタイコ梁が各々安倍ヒノキで施工され、2階40帖の団体用客間をガッチリ支え、階段もケヤキで美しく仕上げられました。また物販棟では、8mの安倍ヒノキの登り梁、軒桁には井川産マツのタイコ梁がボリューム感タップリに使用されました。
一方、体験工房には構造用LVL(単板積層材)による木質ラーメン構造が採用され、在来とこのラーメンの新旧木造の対比にも興味深いものがあります。
匠宿は平成11年4月15日に一般公開されました。丸子地区に残る旧東海道を中心に歴史的資源を生かした、新しい文化・観光拠点として末長く愛される施設であってほしいものです。
なお、当施設への使用木材は、駿府城・東御門に続き、静岡木協(小澤雄太郎理事長)が材工分離で納材しました。
所在地 | 静岡市丸子3240-1 | ||||||||||||||||||
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敷地面積 | 5,234.63㎡ | ||||||||||||||||||
構造・規模/建築(延床)面積 |
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総工費 | 約28億2,300万円 (用地費含む本館のみ) (事業全体では約51億円) |
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設計・監理 | (株)高木滋生建築設計事務所 (静岡市) | ||||||||||||||||||
施工 | 建築工事:住友・市川・第一特定建設工事共同企業体 (静岡市) 電気工事:岡野電気工事(株)静岡営業所 (静岡市) 衛生工事:(株)三共工務所 (静岡市) 空調工事:三洋静岡設備(株) (静岡市) 合併処理:フジクリーン工業(株)静岡営業所 (静岡市) |